公開日2024.6.19
PHV・PHEVは中古車がおすすめ。ハイブリッド車との違いや人気車種を紹介

自動車の電動化への取り組みは世界的に進められており、経済産業省も「2035年までに、乗用車新車販売で電動車100%」を目標として掲げています。
このような現状を踏まえて、PHVやPHEVの中古車に注目している方は多いでしょう。
一般的に価格が高い傾向のある PHVやPHEVですが、中古車であれば新車よりもお手頃な価格で購入できます。
この記事では、PHVやPHEVとは何かという基礎から、電動車についてを詳しく解説するほか、中古車選びのポイントやおすすめ車種まで解説します。
PHV・PHEVとは?

PHVやPHEVとは、外部からの充電が可能なハイブリッド車のことです。
PHVは「Plug-in Hybrid Vehicle」、PHEVは「Plug-in Hybrid Electric Vehicle」の略称で、どちらも同じ「プラグインハイブリッド車」を指しています。
プラグインハイブリッド車は、外部から充電できるハイブリッド車のことで、電気自動車とハイブリッド車のどちらの性質も持っているのが特徴です。
モーターとエンジンで駆動するところは、ハイブリッド車と同様ですが、PHEVは搭載するバッテリーが改良されており、モーターのみで走行可能なEV走行距離(BEV走行距離)が増えているため、電気を主な動力源として走れます。
また、直接プラグを挿してバッテリーを充電できるため、充電スポットを設置した宿泊施設や商業施設はもちろん、PHV・PHEVの充電用コンセント(100V~200V)や普通充電器があればご自宅でも充電可能です。
ハイブリッド車をはじめとする他の車と違い

PHV・PHEVは「電動車」のうちの一つです。
電動車とは、エンジンのみではなく電化(Electrified)することでCO₂排出を低減するクルマの種類のことを指し、電気を使って走る電動車には、ハイブリッド車をはじめ、さまざまな種類があります。
ハイブリッド車を含む、他の電動車との違いを見ていきましょう。
- ・HEV(ハイブリッド車)
- ・BEV(バッテリーEV車)
- ・FCEV(燃料電池車)
HEV(ハイブリッド車)
HEV(Hybrid Electric Vehicle)は、ハイブリッド車を意味する言葉です。
HV(Hybrid Vehicle)と表現されることもありますが、どちらも同じハイブリッド車を指しています。
モーターとエンジンの2つの動力が採用されており、それぞれ効率のいい条件で使い分けることにより燃費性能の向上につながります。
PHV・PHEVとの主な違いは、ハイブリッド車はガソリンを主な燃料としている点と、 大容量のバッテリーや外部充電用の充電口などを備えていない点が挙げられます。
モーターとエンジンを使い分けるスプリット方式や、エンジンで発電してモーターを駆動させるシリーズ方式など、さまざまな走行方式によって低燃費を実現しています。
BEV(バッテリーEV車)
BEV(Battery Electric Vehicle)は、バッテリーEV車を意味する言葉です。
電気のみを燃料に走ることが可能な、いわゆる電気自動車のことをいいます。
EVと表現されることもありますが、近年は他の電動車と区別するためBEVと表現されることが多いです。
外部から充電可能なところはPHV・PHEVと同じですが、エンジンは搭載されておらず、モーターとバッテリーのみで駆動する仕組みというところに違いが表れます。
FCEV(燃料電池車)
FCEV(Fuel Cell Electric Vehicle)は、燃料電池車を意味する言葉です。
FCV(Fuel Cell Vehicle)と表現されることもありますが、どちらも同じ燃料電池車を指しています。
PHV・PHEVとの違いは、エンジン類を搭載しておらず、水素と酸素の化学反応で発電する仕組みを備えていることです。
燃料電池内で発電した電気でモーターを動かすため、電気やガソリンではなく水素を燃料に走ります。
水素の補充はガソリンの給油と同様の早さですが、水素の補充は専用の水素ステーションでおこなう必要があります。
PHV・PHEVのメリット

PHV・PHEVのメリットは、主に下記の3つです。
- ・燃費性能に優れる
- ・EV走行(BEV走行)可能な距離が伸びている
- ・非常時に外部バッテリーとして使用できる
燃費性能に優れる
PHV・PHEVは、燃費性能に優れるというメリットがあります。
モーターのみで走るEVモードと、エンジンで走るHVモードを使い分けるため、優れた燃費性能を発揮します。
中古車の場合、高年式なPHV・PHEVほど、EVモードやHVモードの効率が高く、燃費性能の良さを実感できるでしょう。
ガソリン代を抑えられるのはもちろん、ガソリンと比べて電気料金はお手頃でもあります。
PHV・PHEVの中古車を選ぶことで、環境に配慮しながら、日々の運転にかかるコストを節約することが可能です。
EV走行(BEV走行)可能な距離が伸びている
PHV・PHEVは、EV走行(BEV走行)可能な距離が多いというメリットもあります。
例えば、2023年3月に発売された新型プリウスのEV走行距離は、19インチタイヤ装着車で87km、17インチタイヤ装着車で105km(※1)です。
使用状況にもよりますが、バッテリーに充電した電力だけでも、通勤や買い物などが可能です。
ご自宅で充電でき、充電が切れてもガソリンを燃料として走れるため、燃料切れの心配も少ない点も嬉しいポイントです。
また、ガソリンスタンドに立ち寄る頻度も減るため、給油の手間も削減できます。
(※1)WLTCモード・充電電力使用時走行距離。国土交通省審査値。
非常時に外部バッテリーとして使用できる
PHV・PHEVには、非常時に外部バッテリーとして使用できる車種もあります。
PHV・PHEVが備えた大容量のバッテリーを、蓄電池代わりに使用できるためです。
例えば、V2H(外部給電機能)が付いた急速充電インレットを備えていれば、別売りのV2H機器に接続することで、建物にも電力を供給できます。
また、アクセサリーコンセント(AC100V・1500W)を備えていれば、車内でも家電製品を使用でき、ヴィークルパワーコネクターを普通充電インレットに差し込めば外部給電が可能な車種もあります。
バッテリー内の電気を外部給電するEV給電モードだけでなく、バッテリー残量に応じてガソリンエンジンをかけて給電を継続するHV給電モードを備えている車種だと、非常時には安心できるでしょう。
PHV・PHEVのデメリット

PHV・PHEVのデメリットは、主に下記の3つです。
- ・選択肢が限られる
- ・中古車でも車両本体価格はまだ高め
- ・ご自宅で充電が難しい場合には注意が必要
選択肢が限られる
最近では、ほとんどの車種でハイブリッド車が選択できるようになりましたが、PHV・PHEVを選択できる車種には限りがあります。
そのため、PHV・PHEVはハイブリッド車に比べると選択肢が限られる点はデメリットでしょう。
中古車の場合、在庫の中からの選択となるため、さらに希望に合う車を見つけるのは難しいかもしれません。
中古車でも車両価格はまだ高め
PHV・PHEVは、中古車であれば新車よりもお手頃価格で入手できる機会があります。
しかし、年式や車種、車の状態などにもよりますが、ガソリン車やハイブリッド車と比べると、車両本体価格は高めの傾向があるでしょう。
外部充電装置や大容量のバッテリー、モーターなど、最新技術が使われたパーツを多く積んでいることや、流通量が少ないことも要因の一つでしょう。
一括払いが難しい場合は、ローンを利用するなど、ご自身に合った支払い方法がないか確認してみてください。
ローンを検討している方は、下記のコラムもぜひ参考にしてみてください。
ご自宅で充電が難しい場合には注意が必要
集合住宅のように、PHV・PHEVをご自宅で充電できない場所にお住いの方は、注意が必要です。
充電スポットは全国に広がりつつあり、トヨタ販売店や商業施設やPA、SAなどに入った充電スポットで、普通充電器や急速充電器が利用可能です。
ただ、PHV・PHEVを公共の充電スポットで充電する場合には、株式会社e-Mobility Powerの会員登録が必要でプランに応じた利用料金がかかります。
プランと利用料金は下記の通りです。
プラン名 | 急速・普通併用プラン | 普通充電プラン |
月会費 | 4,180円(税込) | 1,540円(税込) |
都度利用料金 | 急速 27.5円/分(税込) 普通 3.85円/分(税込) ※急速充電器の充電時間は1回30分まで |
普通 3.85円/分(税込) |
※内容や料金は、2023年7月現在のものです。
※新規登録時やカード再発行時には登録手数料として1,980円(税込)、6ヶ月以内のプラン変更や解約の際には、プラン変更手数料や解約手数料として1,980円(税込)が別途必要です。
プラン未加入でもビジター料金で利用可能ですが、1分あたりの料金は、急速充電でも普通充電でもプラン加入時の料金より高くなります。
利用頻度にもよりますが、ご自宅での充電よりも料金が高くなることが考えられます。
また、ガソリンの給油と違い充電には時間がかかるため、毎日のように充電スポットで充電というのも現実的ではありません。
ご自宅で充電が難しい方には、やや不向きといえるでしょう。
参考:株式会社e-Mobility Power「e-Mobility Power会員料金のご案内」
PHV・PHEV の中古車の選び方とは

PHV・PHEVの中古車は、選ぶ際のポイントを押さえましょう。
主なポイントは、下記の5つです。
- ・EV走行距離(BEV走行距離)
- ・HVモード時の燃費性能
- ・充電時間と充電方法
- ・アクセサリーコンセント
- ・V2H対応車種かどうか
EV走行距離(BEV走行距離)
PHV・PHEVの中古車は、EV走行距離(BEV走行距離)を重視して選びましょう。
電気のみで走るEV走行距離(BEV走行距離)が多いほど、ガソリンを節約できます。
職場やよく利用する場所が、EV走行距離(BEV走行距離)内であれば、長期的な節約も可能です。
HVモードで走行中に発電できる車種や、ソーラー充電システムを備えている車種であれば、より節約につながります。
HVモード時の燃費性能
PHV・PHEVの中古車を選ぶ際は、HVモード時の燃費性能も見ておくと良いでしょう。
バッテリーの電気が不足した場合や、電気を節約しておきたい場合は、HVモードで走行することも考えられます。
また、自動で走行モードを切り替える「AUTO EV/HVモード」を利用して、効率的な運転をしたい方も多いでしょう。
HVモードに切り替えるシーンが多いほど、1Lのガソリンでどれだけ走れるかという燃費性能が、ランニングコストに響いてきます。
充電時間と充電方法
PHV・PHEVの中古車を購入する前に、充電時間と充電方法はぜひ確認しましょう。
充電時間は車種によって差異があり、同じ車種なら最新のものほど、満充電までの時間が短い傾向があります。
毎日さまざまな場所へ車で移動する方は、場合によっては200V/16A専用の配線工事をして、充電時間を短縮する必要があるでしょう。
また、普通充電だけでなく急速充電も対応していれば、遠出先の充電スポットでも短時間で充電でき便利です。
急速充電は対応している車種が限られ、メーカーオプションであれば中古車に後付けできないため、確認が必須といえます。
アクセサリーコンセント
PHV・PHEVの中古車を、アウトドアやレジャーといったシーンで利用する予定がある方は、アクセサリーコンセントに注目して選びましょう。
炊飯器やドライヤーなど、さまざまな家電製品に利用できるアクセサリーコンセントは、車種によって数や位置に違いがあります。
また、充電用USB端子やアクセサリーソケットも、車種によって数や位置などに違いが表れ、使い勝手が変わってきます。
ヴィークルパワーコネクターを接続することで、充電口から給電できる車種であれば、アクセサリーコンセントの代わりにできるため、ヴィークルパワーコネクターに対応しているかどうかも見ておくと安心です。
V2H対応車種かどうか
PHV・PHEVの中古車を蓄電池としても利用したい方は、V2H(外部給電機能)に対応した車種かどうかも調べると良いでしょう。
別売りのV2H機器が必要ですが、V2Hに対応していれば、ご自宅に給電できます。
加入している電気料金プランにもよりますが、例えば電気料金がお手頃な夜間にPHV・PHEVに充電をおこない、日中はPHV・PHEVのバッテリーから電気を使用するといったことも可能です。
おすすめのPHV・PHEV3選
PHV・PHEVは、国産車や外国車問わず、さまざまなものがあります。
ここでは、トヨタのおすすめのPHV・PHEVを、3つご紹介します。
- ・プリウスPHV
- ・RAV4 PHV
- ・ハリアーPHEV
プリウスPHV

プリウスPHVは、2012年1月に発売された、セダンのプラグインハイブリッド車です。
派生元のプリウスは、世界初の量産ハイブリッド車で、最新のシステムや装備を採用した先進的な車種として高い人気を誇ります。
プリウスPHVも、プリウス同様に最新技術が搭載されているのが特徴です。
例えば2021年6月モデルは、低重心設計に見直されたボディや、衝撃をしっかり吸収するサスペンションがリヤに採用などにより、走行性能がより安定しています。
空力性能の追求により空気抵抗も減少しており、走行時にぶつかる空気の壁をすっと通り抜けるような、心地良い走りを魅せてくれるでしょう。
また、大容量のバッテリーを積んでおり、BEV走行距離60[50]km(WLTCモード時)と長距離で、ハイブリッド燃料消費率30.3[26.2]km/L(WLTCモード時)(※1)と低燃費です。
メーカーオプションのソーラー充電システムを搭載した中古車であれば、よりBEV走行距離を延ばせるでしょう。
同じくメーカーオプションとして、V2H付きの急速充電インレットが中古車に搭載されていれば、ご自宅でもより早い充電が可能です。
進化を続けるToyota Safety Sense(衝突回避支援パッケージ)も備え、スマートフォンとつなげるDCM(※専用通信機)を全車標準装備でコネクティッドカーとしても利用可能です。
発売開始から10年以上経っているため、中古車市場でも比較的探しやすい点もメリットの1つでしょう。
セダンのプラグインハイブリッド車を探している方には、プリウスPHVがおすすめです。
プリウスPHVの中古車情報
(※1)[]内の数値は、215/45R17タイヤ&17×7J アルミホイール(メーカーオプション)を装着した場合のものです。
RAV4 PHV

RAV4 PHVは、2020年6月に発売された、クロスオーバーSUVのプラグインハイブリッド車です。
派生元のRAV4は、街乗りにもアウトドアにも適したSUVとして国内外で大きな人気を誇っています。
そのRAV4をベースに誕生したRAV4 PHVは、SUVならではの走りと、都市に馴染むスポーティなイメージを継承しています。
例えば2020年6月モデルは、EV走行距離95km(WLTCモード時)、ハイブリッド燃料消費率22.2km/L(WLTCモード時)です。
高出力モーターと2.5Lダイナミックフォースエンジンの採用により、システム最高出力225kw(306PS)という高出力で、パワフルな走りを見せてくれます。
「4WD統合制御(AIM)」によって駆動力やブレーキ、ステアリングなどが自動制御されており、高い操縦安定性と悪路走破性を備えているのも魅力です。
ダイヤル式ドライブモードセレクトで、エコモードやスポーツモードへの切り替えを直感的におこなえる点も、RAV4らしい特徴といえるでしょう。
メーカーオプションのパノラマムーンルーフが付いた中古車であれば、風を取り込み、一層スポーティな走りを楽しめます。
全車標準装備されたToyota Safety Sense(衝突回避支援パッケージ)と、DCM(※専用通信機)を搭載しており、安全性の高いコネクティッドカーとしても利用可能です。
RAV4 PHV専用のフロントグリルとロアモールにより、RAV4以上にスポーティで都会的な印象を持ちますが、ラゲージ容量は490Lと広く、レジャーやアウトドアに使うような荷物も詰め込めます。
都会での普段使いから、SUVらしいワイルドな使い方まで求めている方には、RAV4 PHVがおすすめです。
RAV4 PHVの中古車情報
※内容は2020年6月カタログより記載したもので、数値はトヨタ自動車(株)社内測定値です。年式やオプション、グレードなどにより、違いが表れることがあります。
ハリアーPHEV

ハリアーPHEVは、2022年10月に発売した、高級SUVのプラグインハイブリッド車です。
派生元のハリアーは、高級ラグジュアリーSUVの元祖ともいわれる、トヨタの代表的な車種の一つです。
外装は堂々と洗練された雰囲気、内装は上質さと大人の落ち着きが感じられるデザインに仕上がっています。
性能や装備構成も高級SUVに相応しく、ハリアーPHEVもまた、同等水準のものを持ち合わせます。
例えば、2022年10月モデルは、EV走行距離93km(WLTCモード時)、ハイブリッド燃料消費率20.5km/L(WLTCモード時)です。
また、RAV4 PHVと同等水準の高出力モーターと2.5Lダイナミックフォースエンジンの組み合わせもあり、225kW(306PS)という高出力と低燃費を実現しています。
室内空間はラグジュアリーな雰囲気に溢れ、夜はライトの点灯状況に合わせて発光する室内イルミネーションが、印象的な空間を演出してくれます。
足元を照らしながらエンブレムを投影し、乗車前の気分を高める「エンブレムマーク付ドアミラー足元照明」や、快適な降車をサポートする「運転席オートスライドアウェイ」、Toyota Safety Sense(衝突回避支援パッケージ)なども標準装備です。
後席に乗せるお客様をもてなせる「後席シートヒーター」も標準装備で、メーカーオプションの調光パノラマルーフが取り付けられた中古車なら、光の透過具合を瞬時に切り替えられる天窓で、昼夜の空まで楽しめます。
上質で心地良い空間をSUVに求めている方は、ハリアーPHEVがおすすめです。
ハリアーの中古車情報
※内容は2023年12月カタログより記載したもので、数値はトヨタ自動車(株)社内測定値です。年式やオプション、グレードなどにより異なる場合があります。
まとめ

この記事では、PHV・PHEVに関する基礎知識から、他の電動車との違い、中古車選びのポイントやおすすめ車種まで、詳しく解説しました。
PHV・PHEVは、どちらも同じプラグインハイブリッド車を意味する言葉です。
世界的に自動車の電動化が取り組まれていることから、PHV・PHEVのような電動車が注目を集めています。
燃費性能に優れ、電気で長距離を走れるため、ガソリン代の節約や環境に配慮できることなど、さまざまなメリットがあります。
今からその使い心地を試しておきたいという方に、お手頃価格で購入できるPHV・PHEVの中古車がおすすめです。
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