公開日2025.5.14
中古車は経費計上できるって本当?条件や耐用年数、減価償却などを解説

個人事業主をはじめとする経営者にとって、節税は重視したい事柄の一つでしょう。
業務用に購入した車は経費として計上することで、節税につながることがあります。
中古車も新車同様に「減価償却」をおこなうことで、経費計上することが可能です。
特に、中古車は新車に比べ1年あたりの節税効果が高いといわれるため、ぜひ検討しましょう。
この記事では、中古車の経費計上について、新車と比べて節税効果が高い理由や経費計上の条件、減価償却の計算方法など詳しくご紹介します。
中古車はなぜ経費計上できる?

中古車を事業に使用する車として購入した場合、購入費用は減価償却をおこない経費計上します。
経費計上できるのは、業務に使用する車が、「減価償却資産(固定資産)」に該当するためです。
減価償却資産とは、「購入にかかった費用(取得価額)が100,000円以上かつ、1年以上使用できる」という条件を満たす建物や機械装置、車両運搬具などを指します。
中古車も同様に購入にかかった費用が100,000円以上で、1年以上使用するのであれば、減価償却資産に該当します。
減価償却の対象となる資産の取得にかかった費用は、帳簿や文房具などの消耗品費のように、減価償却費として経費計上が可能なため、購入した車は適切に経費計上することで、課税対象として扱われる課税所得を軽減し、節税につなげることができます。
参考:国税庁「No.2100 減価償却のあらまし」
なぜ節税対策に中古車がおすすめ?

中古車は新車よりも節税対策に有利だといわれています。
その理由は、新車と比べて耐用年数が短く減価償却を早くおこなえるためです。
減価償却とは、固定資産の耐用年数などをもとに、税法によって定められた方法で経費計上していく方法です。
減価償却資産は、少しずつ価値を減少させていくため、基本的に一括で経費計上できません。
具体的な耐用年数は、普通自動車の新車が6年、軽自動車の新車が4年と法定されています。
そのため、新車の場合、普通自動車は6年、軽自動車は4年をかけて経費計上が必要です。
一方、中古車も原則は法定耐用年数に基づき減価償却をおこないますが、購入時の価格(取得価額)が同車種を新車で購入した場合の価格(再取得価額)の50%以下であれば、耐用年数を短縮できることがあります。
耐用年数を短縮することにより、新車よりも少ない年数で経費計上が可能です。
場合によっては1年でほとんどの金額を減価償却でき、1年あたりの節税効果を高めることができます。
参考:e-Gov 法令検索「減価償却資産の耐用年数等に関する省令 」
参考:国税庁「第5節 中古資産の耐用年数 」
中古車を経費計上するための条件とは?

中古車を経費計上するためには、中古車を業務のために用いていることが条件として挙げられます。
業務に用いていることの証明として、記録や書類、例えばレシートや領収書などが求められます。
業務に用いない場合は経費計上することはできませんが、業務用兼自家用車として購入する場合は、業務に使う分のみを経費計上できます。
自家用車としても使用するのであれば、使用の割合に応じて分ける「家事按分」をする必要があります。
他にも、税務調査で私用や趣味で購入したと判断されないために、法人であれば法人名義(個人事業主であれば本人名義)で購入したり、業務用と判断されにくい華美な高級車やスポーツカーは避けたりといった対策も必要です。
参考:国税庁「No.2210 必要経費の知識」
中古車を経費計上するために知っておきたい知識

中古車を経費計上するためには、取得価額や耐用年数などの単語について知っておくとスムーズです。
ここからは、中古車を経費計上するにあたって、知っておきたい知識について紹介します。
取得価額
取得価額とは、その資産を購入したときにかかった費用のことです。
中古車の場合は、中古車本体の価格だけでなく、引取運賃や運送保険料、購入手数料など、取得にかかった費用であれば取得価額に含めることができます。
取得価額は、後述する減価償却の計算に使用するため、中古車の購入に全体でいくらかかったのか、正確に把握することが大切です。
なお、取得にかかった費用の中には、『自動車取得税』や『登録免許税その他登記又は登録のために要する費用』など、取得価額に含めなくて良いとされる「付随費用」があります。
付随費用は、取得価額に含めた方が良いケースや、自己判断で取得価額に含めないことで問題が起きるケースもあるため、税理士に相談して決めると良いでしょう。
参考:国税庁「No.2106 定額法と定率法による減価償却(平成19年4月1日以後に取得する場合)」
参考:国税庁「第1款 固定資産の取得価額|国税庁」
仕訳方法
中古車の支払総額の内訳は、「車両価格」と、税金や保険料などを含む「諸費用」に分けられます。
それらを仕訳に使う勘定科目ごとに分けると、下記の通りです。
勘定科目 | 左記に含まれる項目の例 |
---|---|
車両運搬具 | ・車両価格 ・オプションや付属品など ・納車費用 ・自動車税の未経過相当額 |
租税公課 | ・自動車税(種別割)、軽自動車税(種別割) ・自動車重量税 ・自動車税環境性能割、軽自動車税環境性能割 |
保険料(損害保険料) | ・自賠責保険料 ・任意保険料 |
支払手数料 | ・法定費用(検査登録、車庫証明) ・検査登録手続代行費用 ・車庫証明手続代行費用 |
預託金 | ・リサイクル預託金相当額 |
なお、仕訳する場合には直接法や間接法といった計算方法にあてはめて計算した内容を、それぞれの勘定科目に振り分け記入していきます。
記入には細かなルールがあり、ご自身の状況によって適切な計算方法は異なるため、税理士に相談しながら記入したり、税理士に処理を依頼するようにしましょう。
耐用年数
耐用年数とは、通常の維持補修をしながら通常の使用条件で使用した場合の、その資産を使用できる期間のことを指します。
各資産に法定耐用年数が決められており、減価償却のような税務処理では基本的に法定耐用年数を使用して償却額が計算されます。
前述の通り、中古車は新車よりも短い耐用年数のため、減価償却も耐用年数に応じた年数で計算でき、経費計上できる金額が高くなります。
見積法、あるいは簡便法によって算定した年数を耐用年数として適用できますが、購入した年度に耐用年数を算定しなかったときは、その後の事業年度で耐用年数を算定できないため、注意が必要です。
参考:国税庁「耐用年数の短縮制度について(平成19年4月)」
参考:国税庁「No.5404 中古資産の耐用年数」
耐用年数の計算方法
簡便法による耐用年数の計算方法は、初度登録年月からの経過年数によって、下記の2通りに分かれています。
条件 | 計算式 |
---|---|
法定耐用年数の全部を経過した資産 | 法定耐用年数 × 0.2 |
法定耐用年数の一部を経過した資産 | (法定耐用年数 - 初度登録年月から経過した年数) + 経過した年数の20%に相当する年数 |
参考:国税庁「No.5404 中古資産の耐用年数」
なお、算出した年数に1年未満の端数があるときは、その端数を切り捨て、その年数が2年に満たない場合には2年とします。
減価償却費の計算方法

減価償却費の計算方法は、主に定額法と定率法の2通りです。
どちらかを選び、償却方法の選定の届出をおこなう必要があります。
償却方法の選定の届出をおこなわなかった場合は、個人事業主の方は定額法、法人であれば定率法のように、法定の償却方法が採用されてしまう点に注意が必要です。
定額法
定額法とは、減価償却費を毎年「定額」で経費計上する方法を指します。
定額のため、金額が把握しやすいという特徴があります。
計算式は下記の通りです。
各年の償却費の額 = 取得価額 × 定額法の償却率
例えば、800,000円の中古車であれば、下記のように計算することが可能です。
耐用年数 | 平成19年4月1日以後取得の定額法の償却率 | 金額 |
---|---|---|
2年 | 0.5 | 各年400,000円 |
3年 | 0.334 | 各年267,200円 ※3年目は265,600円 |
4年 | 0.25 | 各年200,000円 |
5年 | 0.2 | 各年160,000円 |
※定額法の償却率は、国税庁の「減価償却資産の償却率等表」を参照。
参考:国税庁「No.2106 定額法と定率法による減価償却(平成19年4月1日以後に取得する場合)」
定率法
定率法とは、各年で金額が変動する経費計上の方法を指します。
金額が変動するのは、年数の経過によって減価償却資産の価値が減少することが考慮されているためです。
2年目以降は経費計上する金額が減少しますが、価値が高い1年目は、多くの金額を経費計上できるという特徴があります。
定率法の計算式
定率法の計算式は1年目と2年目以降で違いが表れ、下記の通りです。
実際にご自身で計算していく場合は、税理士に相談したり確認してもらったりして、処理に間違いがないよう進めると安心です。
年数 | 減価償却費の額 |
---|---|
1年目 | 取得価額 × 定率法の償却率 |
2年目以降 | ・「調整前償却額 ≧ 償却保証額」の場合 期首未償却残高 × 定率法の償却率 ・「調整前償却額 < 償却保証額」の場合 改定取得価額 × 改定償却率 |
※1 調整前償却額は、「未償却残高 × 定率法の償却率」で求めます。
※2償却保証額は、「取得価額 × 保証率」で求めます。
※3期首未償却残高は、取得価額から前年末までの償却費の合計額を差し引いた金額です。
※4改定取得価額は、調整前償却額が償却保証額を、初めて超えなかった年の期首未償却残高を指します。
※5 定率法の償却率、改定償却率、保証率は、下記の表を参照してください。
耐用年数 | 平成24年4月1日以後取得の定率法の償却率 | 平成24年4月1日以後取得の改定償却率 | 平成24年4月1日以後取得の保証率 |
---|---|---|---|
2年 | 1.000 | ― | ― |
3年 | 0.667 | 1.000 | 0.11089 |
4年 | 0.500 | 1.000 | 0.12499 |
5年 | 0.400 | 0.500 | 0.10800 |
参考:国税庁「減価償却資産の償却率等表」
中古車を経費計上する際の注意点

中古車を経費計上する場合には、下記の3つ点に注意してみてください。
- 決算をおこなった翌月の購入がおすすめ
- 定率法であれば4年落ちほどの中古車がおすすめ
- 新車価格の50%以下の価格がおすすめ
決算をおこなった翌月の購入がおすすめ
中古車を購入するのであれば、決算をおこなった月の翌月がおすすめです。
固定資産を年度の途中で取得すると、経費計上可能な金額が変わるためです。
経費計上できる金額をさらに12ヶ月で割り、使用した月数をかけて計算する必要があります。
節税効果を高めるためにも、法人であれば本決算後、個人事業主であれば確定申告後など、決算月の翌月の購入がおすすめです。
参考:国税庁「No.2106 定額法と定率法による減価償却(平成19年4月1日以後に取得する場合)」
定率法であれば4年落ちほどの中古車がおすすめ
定率法で減価償却するのであれば、初度登録年月から4年ほどで手放された中古車がおすすめです(軽自動車であれば2年ほど)。
定率法では、1年目に「取得価額 × 定率法の償却率」で減価償却費を計算します。
初度登録年月から4年ほど経過した中古車であれば、耐用年数が2年として扱われ、1年目の計算に使用する定率法の償却率は1.000です。
1円を除き、購入した年度に取得価額のほぼ全額を経費計上できるため、節税効果を高めることができます。
何年落ちの中古車が良いか迷っている方は、「中古車を買うなら何年落ちがおすすめ?選び方のポイントや注意点」の記事もぜひ参考にしてみてください。
参考:国税庁「(5) 新たな償却の方法3(法定耐用年数が2年の場合の計算)」
新車価格の50%以下の価格がおすすめ
再取得価額が、50%を超えないことも大切です。
耐用年数を短縮するには、中古車の取得価額が、再取得価額(同車種の新車価格)の50%以下であることが条件です。
条件を満たせない場合、中古車であっても、耐用年数は法定耐用年数が採用されます。
状態の良い中古車を購入したいと考えている方は、取得価額についても気を配るようにしてください。
参考:国税庁「第5節 中古資産の耐用年数 」
まとめ

この記事では、中古車が経費計上可能かどうか、経費計上するための条件や中古車がおすすめの理由、減価償却の計算方法などについてご紹介しました。
車の購入費用は、車を業務に使用するのであれば経費計上が可能です。
課税所得の軽減につなげることができ、耐用年数を短縮できる中古車であれば、1年あたりの節税効果を高めることもできます。
今まで車を経費にしてこなかったという方は、ぜひ、車を購入する際に検討してみてください。
トヨタモビリティ神奈川が扱う中古車情報は、こちらからご確認頂けます。
中古車情報をチェックする
※在庫車の状況は日々変動します。予めご了承ください。
また、お近くの店舗にご希望の中古車がない場合でも、店舗間の在庫移動による取り寄せが可能です。
店舗間の在庫移動による取り寄せをご希望の方は、お気軽にご相談ください。
近くの中古車取扱店舗を探す