
プリウス森木会の軌跡
プリウス森木会の軌跡
平成9年12月、「21世紀に間に合いました」のキャッチフレーズで誕生した“プリウス”は特別なクルマだった。
そして、そのオーナーもまた、特別な人達だった。
この特別なクルマを、特別なオーナーにお届けする県内唯一のディーラー*1として何か出来ることはないかと考え、平成10年7月、県のすすめる「かながわ水源の森林づくり」事業への参加を決め、プリウスを1台販売する毎に一定額を寄附するとともに、秦野市ヤビツ峠に『プリウス森木会の森』を設け、プリウスのオーナーと一緒に森林にふれる様々な活動をする「プリウス森木会」を立ち上げた。
第1回“プリウス森木会(しんぼくかい)”が開催されたのは、平成10年11月15日。
この“プリウス森木会”の活動がモデルケースとなり、平成11年1月、県は『水源林パートナー制度』をスタートさせた。現在31の企業および団体が参加しているが、神奈川トヨタ(トヨタモビリティ神奈川)が県内に拠点を置くどの企業よりも“さきがけ”て、こうした活動に着手できたのも、プリウスという特別なクルマを愛する特別なオーナーに囲まれ、地域と共に力を持ち寄り夢を形にしてきた歴史があるからだ。
*1.“プリウス”は現在トヨタの全ての販売店で取り扱っているが、初代プリウスは、県内では「神奈川トヨタ(トヨタモビリティ神奈川)」の専売車種だった。
そして、そのオーナーもまた、特別な人達だった。
この特別なクルマを、特別なオーナーにお届けする県内唯一のディーラー*1として何か出来ることはないかと考え、平成10年7月、県のすすめる「かながわ水源の森林づくり」事業への参加を決め、プリウスを1台販売する毎に一定額を寄附するとともに、秦野市ヤビツ峠に『プリウス森木会の森』を設け、プリウスのオーナーと一緒に森林にふれる様々な活動をする「プリウス森木会」を立ち上げた。
第1回“プリウス森木会(しんぼくかい)”が開催されたのは、平成10年11月15日。
この“プリウス森木会”の活動がモデルケースとなり、平成11年1月、県は『水源林パートナー制度』をスタートさせた。現在31の企業および団体が参加しているが、神奈川トヨタ(トヨタモビリティ神奈川)が県内に拠点を置くどの企業よりも“さきがけ”て、こうした活動に着手できたのも、プリウスという特別なクルマを愛する特別なオーナーに囲まれ、地域と共に力を持ち寄り夢を形にしてきた歴史があるからだ。
*1.“プリウス”は現在トヨタの全ての販売店で取り扱っているが、初代プリウスは、県内では「神奈川トヨタ(トヨタモビリティ神奈川)」の専売車種だった。

第1話『 エコの流儀 』
選ばれし者達がプリウスに伝授されたこと
初めてのブレーキで、カックンと身体が45度前傾した。
これが、初代プリウスのオーナーがみな体験した、最初の洗礼である。これまで乗り継いできたガソリン車の感覚でブレーキを踏めば、必ずこういう結果を招いた。
そして、“これが回生ブレーキ*1というものか”と、感心した。
初代プリウスのオーナーはみな、知らずしらずのうちにペダル操作が繊細になった。
これが、初代プリウスのオーナーがみな体験した、最初の洗礼である。これまで乗り継いできたガソリン車の感覚でブレーキを踏めば、必ずこういう結果を招いた。
そして、“これが回生ブレーキ*1というものか”と、感心した。
初代プリウスのオーナーはみな、知らずしらずのうちにペダル操作が繊細になった。

箱根のように長く急な坂を登っていると、バックミラーに路線バスのドライバーが困惑している表情が映し出された。
路線バスのドライバーが、あおり運転をしているわけではない。初代プリウスは、想像以上に登り坂が苦手だった。しかたなくアクセルを踏み込むと、不機嫌そうにエンジンが“うなり声”をあげた。
初代プリウスは、世界初の量産ハイブリッドカーとして優れた環境性能と先進性をもつ反面、扱いにくい点も多かった。既存のガソリン車の感覚がぬぐえず、離脱するオーナーもいたが、21世紀を見据えたモノづくりのチャレンジ精神に賛同した多くのオーナーは、ガソリン車では味わえない違和感を楽しんだ。
初代プリウスは特別なクルマだったが、オーナーもまた特別な人達だった。初代プリウスは乗り手がクルマを選んだのではなく、プリウスから選ばれた人だけが乗ることを許されたクルマだったのかもしれない。
*1.回生ブレーキ…回転エネルギーを電気エネルギーに変換して減速し、同時にバッテリーを充電する仕組み
路線バスのドライバーが、あおり運転をしているわけではない。初代プリウスは、想像以上に登り坂が苦手だった。しかたなくアクセルを踏み込むと、不機嫌そうにエンジンが“うなり声”をあげた。
初代プリウスは、世界初の量産ハイブリッドカーとして優れた環境性能と先進性をもつ反面、扱いにくい点も多かった。既存のガソリン車の感覚がぬぐえず、離脱するオーナーもいたが、21世紀を見据えたモノづくりのチャレンジ精神に賛同した多くのオーナーは、ガソリン車では味わえない違和感を楽しんだ。
初代プリウスは特別なクルマだったが、オーナーもまた特別な人達だった。初代プリウスは乗り手がクルマを選んだのではなく、プリウスから選ばれた人だけが乗ることを許されたクルマだったのかもしれない。
*1.回生ブレーキ…回転エネルギーを電気エネルギーに変換して減速し、同時にバッテリーを充電する仕組み
第2話『 地域と共に 』
力を持ち寄り夢を形に
プリウスが誕生する6年前の1991年(平成3年)4月、神奈川トヨタの複合ショールーム“トヨタ・カレリア”*1で『みどりのチャリティコンサート』が開催された。

以前より交流のあったフェリス女学院の卒業生らから、「私たちは演奏することはできる。しかし、聴いていただくお客さまを集めることができない。」という相談があったのがきっかけだった。
相談を受けた私たちは、演奏会の希望日が“みどりの日*2”の前日だったので、植物をテーマにした曲を集めて『みどりのチャリティコンサート』にしてはどうかと提案した。
収益金を“かながわ森林基金”に寄付させていただく約束で、県から後援してもらえることとなった。
報道機関の支局やケーブルテレビ局を1件1件まわり、丁寧な情報提供も行った。
フェリス女学院の卒業生らが、県の後援を受け、当社の複合ショールームでチャリティコンサートを開くというのは、当時は新しいニュースであった為、読売・毎日・神奈川など7紙の新聞とケーブルテレビが取り上げてくれた。
トヨタ・カレリアは、『かながわ音楽コンクール』の予選会場に使用されるなど、これまでにも地域との交流を大切にしてきた。
この考え方は、現在も淵野辺店や小田原店に受け継がれている。
これをきっかけにして、神奈川県と協力した取り組みが広がっていく。
*1.トヨタ・カレリア=横浜市中区にあった、自動車ショールームにカフェやイベントスペースなどを併設した複合店舗。現在はトヨタモビリティ神奈川 中店に統合。
*2.みどりの日…当時は4月29日。現在は5月4日になった。
相談を受けた私たちは、演奏会の希望日が“みどりの日*2”の前日だったので、植物をテーマにした曲を集めて『みどりのチャリティコンサート』にしてはどうかと提案した。
収益金を“かながわ森林基金”に寄付させていただく約束で、県から後援してもらえることとなった。
報道機関の支局やケーブルテレビ局を1件1件まわり、丁寧な情報提供も行った。
フェリス女学院の卒業生らが、県の後援を受け、当社の複合ショールームでチャリティコンサートを開くというのは、当時は新しいニュースであった為、読売・毎日・神奈川など7紙の新聞とケーブルテレビが取り上げてくれた。
トヨタ・カレリアは、『かながわ音楽コンクール』の予選会場に使用されるなど、これまでにも地域との交流を大切にしてきた。
この考え方は、現在も淵野辺店や小田原店に受け継がれている。
これをきっかけにして、神奈川県と協力した取り組みが広がっていく。
*1.トヨタ・カレリア=横浜市中区にあった、自動車ショールームにカフェやイベントスペースなどを併設した複合店舗。現在はトヨタモビリティ神奈川 中店に統合。
*2.みどりの日…当時は4月29日。現在は5月4日になった。
第3話『 郷土の課題 』
元気な森をつくる
木々が生い茂り、一見元気そうに見える県内の森。
しかし、写真のように根元に草が生えていない森は“元気な森”とは言えない。
しかし、写真のように根元に草が生えていない森は“元気な森”とは言えない。
なにが問題なのか?なぜそうなったのか?どうすれば元気になれるのか?
写真の森は、自然森ではなく人工林である。
人工林が問題なわけではない。同じ樹齢の針葉樹だけの“単層林(たんそうりん)”であることが問題なのだ。
針葉樹が森の高い所で葉を茂らせると、太陽の光が低い所に届かない。そこに低い植物は育たず、地面はむき出しになる。
雨が降ると土砂が流され、倒木を招く恐れもある。
写真の森は、自然森ではなく人工林である。
人工林が問題なわけではない。同じ樹齢の針葉樹だけの“単層林(たんそうりん)”であることが問題なのだ。
針葉樹が森の高い所で葉を茂らせると、太陽の光が低い所に届かない。そこに低い植物は育たず、地面はむき出しになる。
雨が降ると土砂が流され、倒木を招く恐れもある。

戦後、日本の復興を支えたのは森だった。
えっ、そこから?と思うかも知れないが、森の話は10年や20年では語れない。森の木々が建築資材となり、街の復興を支えたのだ。
ボウズになった森には植樹されたが、建築資材として使いやすい針葉樹ばかりが植えられた。
時代はうつり、安い輸入材が流通するようになると、国内の森は放置された。
皮肉なものだが、このまま森を放置すれば、街の復興を支えた森が、荒天による流木で街を破壊する恐れすらある。
えっ、そこから?と思うかも知れないが、森の話は10年や20年では語れない。森の木々が建築資材となり、街の復興を支えたのだ。
ボウズになった森には植樹されたが、建築資材として使いやすい針葉樹ばかりが植えられた。
時代はうつり、安い輸入材が流通するようになると、国内の森は放置された。
皮肉なものだが、このまま森を放置すれば、街の復興を支えた森が、荒天による流木で街を破壊する恐れすらある。

“健康な森”は、水をたくわえる力をもっている。県がすすめる“水源の森林づくり”とは、この水を蓄える元気な森をつくる活動である。県内に放置された、針葉樹ばかりの“単層林”を間伐し、地面に光を届け、性質の違う広葉樹などを植えることで“複層林”化し、元気な森に変えていこうというものだ。
広葉樹は、根の張り方も枝の茂り方も違う。落ち葉が大地も肥やしてくれる。樹齢も種類も性質も違う植物が共存することで、元気な森になるのだ。
広葉樹は、根の張り方も枝の茂り方も違う。落ち葉が大地も肥やしてくれる。樹齢も種類も性質も違う植物が共存することで、元気な森になるのだ。
第4話『 さきがけ 』
森木会がモデルケースに
神奈川県内の森林保護活動に貢献すると共に、プリウスのオーナーをはじめとする地元みなさんと一緒に森林にふれる活動を通じて親睦をはかろうと、平成10年7月、県と覚書を締結。
プリウスの販売台数に応じた寄付を開始するとともに、秦野市ヤビツ峠に“プリウス森木会の森”を設け、同年の11月より“プリウス森木会”の活動をスタートさせた。
プリウスの販売台数に応じた寄付を開始するとともに、秦野市ヤビツ峠に“プリウス森木会の森”を設け、同年の11月より“プリウス森木会”の活動をスタートさせた。
第1回目の「植樹と自然観察会」では、参加者47名がコナラやヤマボウシなどの広葉樹苗200本を植樹し、プリウス森木会の森を散策した。

この“プリウス森木会”の活動がモデルケースとなり、県は平成11年1月『水源林パートナー制度』をスタートさせた。
現在31の企業および団体が参加しているが、神奈川トヨタ(トヨタモビリティ神奈川)が県内に拠点を置くどの企業よりも“さきがけ”て、こうした活動に着手できたのも、プリウスという特別なクルマを愛する特別なお客様に囲まれ、地域と共に力を寄り添って夢を形に変えてきた歴史があり、郷土の課題に真摯に向き合う姿勢があったからだ。
現在31の企業および団体が参加しているが、神奈川トヨタ(トヨタモビリティ神奈川)が県内に拠点を置くどの企業よりも“さきがけ”て、こうした活動に着手できたのも、プリウスという特別なクルマを愛する特別なお客様に囲まれ、地域と共に力を寄り添って夢を形に変えてきた歴史があり、郷土の課題に真摯に向き合う姿勢があったからだ。