公開日2025.5.27
CVT車の特徴とは?AT車とどっちがいいの?メリットやデメリットまで詳しく

中古車選びの際に、CVT車と表記された車を目にすることもあるでしょう。
MT車とAT車の違いは分かっても、CVT車とAT車の違いまでは詳しく分からないという方は珍しくありません。
ここでは、CVT車とはどのような車か、メリットやデメリット、どのような方におすすめなのか、詳しくご紹介します。
CVT車の特徴とは?

CVT車とは、トランスミッションに無段変速機を採用した車のことです。
無段変速機は、英語で「Continuously Variable Transmission(コンティニュアスリー バリアブル トランスミッション)」と記述するため、その頭文字を取ってCVT車という名称で呼ばれます。
CVT車は、動力伝達に「プーリー(滑車)」や「ディスク」を使用しているのが大きな特徴といえるでしょう。
プーリーと金属ベルトで動力を伝える「金属ベルト式」、ベルトの代わりにチェーンを使う「チェーンベルト式」、ディスクとパワーローラーを組み合わせる「トロイダル式」などが、現在の主流です。
エンジンがプーリーやディスクを回転させ、その回転をベルトやチェーン、パワーローラーなどが、車輪側のプーリーやディスクに伝達することで駆動します。
これまで、CVTはエンジンの出力が小さい、原動機付き自転車やスクーターなどに採用されていたトランスミッションです。
しかし現在は、技術開発が進み、エンジンの出力が大きいSUVのような車にも採用されています。
CVT車とAT車の違いとは?

CVT車とAT車の主な違いは、変速の仕組みです。
前述の通り、CVT車は、動力伝達にプーリーやディスクを使っています。
変速は、プーリーの開閉で溝幅を調整したり、パワーローラーの角度を変えたりすることでおこないます。
それにより、エンジン側と車輪側の動力伝達の比率を変え、スムーズな変速を可能としているのです。
一方、AT車には何枚ものギアが使われ、速度に合わせた変速操作を自動で行ってくれる仕組みを備えています。
なお、CVT車はAT車と同様に、アクセルペダルとブレーキペダルの2ペダルのみで、MT車のようにクラッチペダルはないので、運転操作はAT車と変わりません。
CVT車はAT車に分類されるため、AT限定の免許で運転可能です。
CVT車のメリットとデメリットとは

では、CVT車のメリットやデメリットにはどのようなものがあるでしょうか。
ここで具体的なメリットとデメリットを見ていきます。
CVT車のメリット
CVT車のメリットとして、下記を挙げることができます。
- ・変速がスムーズで燃費性能に優れる
- ・変速ショックが起こりにくい
- ・多段化されたAT車より車両価格が安いことが多い
CVT車は、ガソリンエンジンの力を効率的に車輪へ伝えられます。
AT車が1速、2速…のように切り替える段階的な変速に対し、CVT車は1.1、1.2…のように、ギアの中間に対応した滑らかな変速を実現しているためです。
速度に合わせた最適な変速ができるため、燃費性能に優れているというメリットがあります。
また、変速時に振動が起きる変速ショックも起こりにくいため、乗り心地も快適です。
近年はCVT車と同様のスムーズな変速を求め、ギアを多段化したAT車もあります。
多段化されたAT車と比べ、CVT車の方が車両価格が安く設定されていることもあります。
CVT車のデメリット
CVT車のデメリットとして、下記を挙げることができます。
- ・高速域での走行は得意でない
- ・AT車やMT車に慣れている方は加速に違和感を覚えることがある
- ・発進時の加速が弱いことがある
CVT車は、高速道路のような場所の走行は、あまり得意ではありません。
高速域では、ベルトやチェーンなどが滑ることがあり、動力伝達効率が落ちるため、燃費性能を発揮できない傾向があります。
ベルトやチェーンの摩耗が激しい点でも、高速道路の走行は負担が大きいといえるでしょう。
CVT車が燃費性能の良さを発揮するのは、加速と減速を繰り返す、街乗りのような状況です。
また、CVT車特有の無段変速の感覚に慣れず、AT車やMT車で慣れている方の中には、違和感を覚える方もいるかもしれません。
CVT車によっては、発進時の加速が弱いこともあります。
ただ、トヨタ自動車(株)の「Direct Shift-CVT」のように、発進時の加速を補う発進用のギアを搭載したCVT車もあり、CVT車のデメリットは徐々に改善されつつあります。
Direct Shift-CVTについてより詳しくは、トヨタ自動車(株)のニュースをご確認ください。
トヨタ自動車、TNGAによって一新した、新型パワートレーンを発表|トヨタ自動車株式会社 公式企業サイト
AT車のメリットとデメリットとは

では、次にAT車にどのようなメリットやデメリットがあるか、確認していきましょう。
AT車のメリット
AT車のメリットとして、下記を挙げることができます。
- ・運転しやすい
- ・耐久性に優れるギアを採用している
AT車は現在までの普及台数が多く、教習所で運転した経験がある方は多いでしょう。
変速の感覚にも慣れているため、運転しやすさが感じられるのは、AT車のメリットといえます。
また、耐久性に優れたギアを採用しているため、馬力の高いガソリンエンジンを積みやすく、高速域での走行ではAT車の方が優れた燃費性能を発揮しやすいというメリットもあります。
AT車のデメリット
AT車のデメリットとして、下記を挙げることができます。
- ・CVT車と比べると燃費性能に違いが表れる
- ・変速時に変速ショックが起きることがある
スムーズに無段階で変速できるCVT車と、段階的に変速するAT車では、燃費性能に違いが表れます。
街乗りにおいては、CVT車の方が、AT車よりも優れた燃費性能を発揮してくれるでしょう。
また、急加速やシフトレバーでギアを変えた際に、ご自身や同乗者が僅かな振動を感じることがあります。
CVT車とAT車がそれぞれ向いている人とは

ここでは、上記のメリットやデメリットを踏まえ、CVT車とAT車それぞれに向いている方の特徴をご紹介します。
CVT車が向いている人の特徴
CVT車が向いているのは、下記に当てはまる方です。
- ・街乗りで車を使う方
- ・燃費性能を重視している方
- ・スムーズな加速と快適性に魅力を感じる方
通勤や買い物など、普段使いする目的で中古車を購入するのであれば、CVT車が向いているといえます。
街乗りであればスムーズな変速で、CVT車の燃費性能の良さを十分に発揮できるためです。
また、変速時が無段階のため、走行時の加速がスムーズで変速ショックがないことから、走行時の快適性に気を配りたい方に向いているでしょう。
AT車が向いている方の特徴
AT車が向いているのは、下記に当てはまる方です。
- ・高速道路も運転することがある方
- ・AT車の運転に慣れていて変えたくない方
- ・多くの選択肢から選びたい方
高速道路を利用する方には、高速域でもパワフルに走行でき、十分な燃費性能を発揮できるAT車がおすすめです。
また、AT車の変速に慣れていて加速時にパワーが欲しい方や、AT車が好きで乗り続けたい方にも向いています。
AT車の方が販売されている車種が多いことから、多くの選択肢からご自身に最適な1台を選びたいとお考えの方はAT車から探すのが良いでしょう。
CVT車に関するよくある質問

ここでは、CVT車に関するよくある質問を見ていきましょう。
CVT車でクリープ現象は起きない?
CVT車には、クリープ現象が起きる車種と起きない車種があります。
クリープ現象とは、シフトレバーをドライブレンジに入れているとき、アクセルとブレーキを踏んでいなくても、車が徐々進んでいく現象を指します。
AT車の場合はトルクコンバータによりクリープ現象を起こしており、発進と停止をスムーズにおこなうことが可能です。
一方、CVT車の場合は、広義のAT車に当たるものの、トルクコンバータを搭載していません。
そのため、シフトレバーをドライブレンジに入れ、アクセルとブレーキを離していてもクリープ現象は起きませんでした。
現在では駐車時や渋滞時のメリットを考慮し、クリープ現象が起きる仕組みを搭載した車種も存在します。
なお、MT車にクリープ現象は発生せず、ご自身でクラッチ操作をおこなう必要があり、その点が魅力でもあります。
AT車との違いやMT車の魅力についてより詳しく知りたい方は、下記のコラムもチェックしてみてください。
MT車(マニュアル車)のおすすめ中古車5選。MT車の魅力から詳しく
CVT車とAT車は、見た目で見分けることができる?
現在のCVT車とAT車は、見た目で見分けることが困難です。
以前は、シフトレバーの表記を見れば、アルファベットや数字の使い分けで、CVT車かAT車かを見分けることができました。
しかし、現在のシフトレバーは、アルファベットと数字どちらも使われることがあるため、シフトレバーから見分けることは難しいといえるでしょう。
中古車を購入する際は、中古車販売店のホームページに、車種ごとにCVT車かAT車などトランスミッションの記載があるため、見分けてみてください。
CVT車を長く使うには?
CVT車に長く乗り続けるためには、摩耗を抑えることが大切です。
CVT車は、金属ベルトや金属チェーンなどの摩擦によって駆動するため、摩耗があります。
現在は、耐久性が向上しているものの、摩耗によって故障につながることがあります。
摩耗を防ぎ、長く乗り続けるためには、CVT車に使われているCVTフルード(CVTF)が劣化しないよう、定期的に交換しましょう。
CVTフルードは、油圧制御に用いる消耗品のオイルで、AT車におけるオートマチックフルード(ATF)に当たります。
異音がする、あるいは走行時に違和感があれば、早めに点検を受けてください。
CVT車とAT車どちらを選ぶべき?
CVT車とAT車は、一概にどちらを選ぶべきとはいえず、ご自身に合った方を選ぶのが良いでしょう。
CVT車とAT車は、自動車メーカーや車種、年式などによって、走行性能や環境性能に違いが表れます。
しかし、自動車メーカーは、車種に合ったトランスミッションを採用しており、CVT車、AT車どちらを選んでもメリットがあります。
ご自身の好みや利用シーンを考慮して選んでみてください。
まとめ

この記事では、CVT車とAT車の違い、それぞれのトランスミッションが持つメリットとデメリット、どのような方に向いているかなど、詳しくご紹介しました。
CVT車は、現在、さまざまな自動車メーカーが積極的に開発を進めているトランスミッションです。
変速がスムーズで燃費性能に優れることや、変速ショックが起こりにくいことなど、多くのメリットがあります。
AT車ともさまざまな違いがあるため、比較検討して、ぜひご自身に合った中古車を選んでみてください。
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