公開日2025.12.15
車はローン残債があっても買い替えられる?所有権の有無で分かれる流れを解説
車に不調があったりライフスタイルに変化が訪れたりすると、車の買い替えを検討する方も多いのではないでしょうか。
しかし、ローンが残っている場合、買い替えられるかどうかわからないという方もいるかもしれません。
この記事では、ローン残債があっても車の買い替えができるかどうか、買い替える際の具体的な流れなどについて、詳しくご紹介します。
ローン残債がある車は買い替えられる?
ローン残債があっても、車は買い替えられます。
ただし、車の所有者の名義が誰になっているのかによって手続きが変わり、場合によってはローンの完済やローンの組み替えが必要です。
まずは所有者が誰になっているかを確認しましょう。
ローンを組んだ場合、所有者は下記のいずれかになっています。
- ・ご自身
- ・ご自身の配偶者や親族
- ・ローンの借入先(ローン会社や金融機関、ディーラーなど)
スムーズに買い替えやすいのは、ご自身か、ご自身の配偶者や親族が所有者の場合です。
銀行などの金融機関が取り扱うマイカーローンの場合、融資を受けて自己資金で車を購入するため、購入した時点で所有権はご自身もしくはご自身の配偶者や親族となっています。
ディーラーや中古車販売店などと提携している信販会社が提供するディーラーローンの場合、一般的には所有者はディーラーや信販会社となっています。
なお、所有者は、自動車検査証の「所有者の氏名又は名称」と「所有者の住所」という項目から確認できます。
所有権者別に見る、買い替え方法の具体的な違い
ここでは、所有者別に、買い替え方法の具体的な違いについて見ていきます。
所有者がご自身の場合
車の所有者がご自身の場合は、基本的に買い替えが可能です。
所有権は、民法206条によって「所有者は、法令の制限内において、自由にその所有物の使用、収益及び処分をする権利を有する」と規定されています。
そのため、原則として、車にローン残債があっても、ご自身の判断で手放すかどうかを決めることが可能です。
ローン残債は、車の下取りや買取りの金額で相殺したり、相殺できない分を一括払いしたりすることで清算します。
場合によっては、ローン残債がある状態で、新たにローンを組みなおすこともできますが、借入額が増える場合審査が厳しくなることがあります。
ローンの契約内容によっては、ローンの完済前に車を手放すことを制限されていることがあります。
その場合は、車を手放す前に繰り上げ返済が必要になるため注意が必要です。
自動車検査証(車検証)のタイプの違いと契約内容に注意
普通自動車の車検証は、交付される時期や所有者によってAタイプ、Bタイプの分類があります。
車検証のタイプは用紙の左上に記載されています。
Aタイプには「所有者の氏名又は名称」と「所有者の住所」の項目がありますが、Bタイプの場合は「使用者の氏名又は名称」と「使用者の住所」の項目に置き換えられており、所有権に関する内容は備考欄に記載されています。
また、2023年1月以降に交付された場合は一部が電子化されており、車検証には車の使用者の名前のみが記載されます。
所有者や使用者の詳細情報は車検証に添付されたICタグに格納されている為、別途「自動車検査証記録事項」を確認しましょう。
「自動車検査証記録事項」の帳票が手元にない場合は、国交省の提供する車検証閲覧アプリから確認ができます。
所有者がご自身の配偶者や親族の場合
車の所有者がご自身の配偶者や親族の場合も、基本的に車を買い替えられます。
車を、配偶者が利用する目的で購入したものの、現在はご自身が利用しているということはあるでしょう。
あるいは、就職して間もなかった、自動車保険の等級を引き継ぎたかったなどの理由で、親が所有者で子どもが使用者というケースもあるはずです。
このように車の所有権がご自身にない場合は、自由に手放すことができないため、所有者の同意が必要です。
同意を得た証として、委任状と印鑑証明書、譲渡証明書などを用意して買い替えに進みます。
それにより、ご自身が所有者のときと同様、ローン残債があっても車の買い替えが可能です。
所有者がご自身の時と同様に、ローンの契約条件が完済前に車を手放すことを制限されていれば、繰り上げ返済で完済する必要がある点に注意してください。
所有者がローンの借入先の場合
車の所有者がディーラーや信販会社などの場合は、ローンを完済してから「所有権留保の解除」をおこなう必要があります。
所有権留保の解除とは、所有権をご自身に変更する手続きのことです。
ローンの契約次第では、ローンを完済するまでの担保として、車の所有権がローン会社や金融機関、ディーラーなどになっています。
それにより、万が一支払いが滞った場合に、車を担保として回収できるという仕組みです。
このように所有権がローンの借入先にある場合、ローンを完済してからでないと車を自由に手放せません。
ローン残債がある車を買い替えるときの具体的な流れ
では、実際にどのような流れで買い替えれば良いでしょうか。
ここでは、ローン残債がある車を買い替える、具体的な流れをご紹介します。
1.ローン残債をチェックする
まずは、現在のローン残債がどれだけ残っているかを確認しましょう。
ローン残債の額によって、無理なく買い替えられるかどうかが変わるためです。
例えば、ディーラーローンの場合、ローン残債が残りわずかであれば、車を下取りすることで相殺できることもあります。
送付された支払金一覧表や、借入先のWebサイトなどからローン残債を確認しておきましょう。
2.所有者が誰になっているか確認する
つぎに、車の所有者が誰になっているのかをチェックしましょう。
先述したように所有者によって、買い替えの流れが変わります。
3-1.所有者がご自身の場合の買い替え方法
所有者がご自身の場合、車の買い替え方法は下記の2通りです。
- ①そのまま買い替え
- ②繰り上げ返済で一括返済してから買い替え
完済前に手放すことを制限する項目が契約内容になければ、①のケースに当たり、そのまま買い替えに進みます。
利用するローンによっても異なりますが、ローン残債は他のローンとまとめて一本化したり、新たなローンに上乗せしたりできます。
一方で、完済前に手放すことを制限する項目があれば、②のケースに当たります。
繰り上げ返済をおこなった後に、車の買い替えへと進んでください。
3-2.所有者がご自身の配偶者や親族の場合の買い替え方法
所有者が配偶者や親族であれば、車の買い替え方法は下記の2通りです。
- ①所有者の同意を得た後、買い替え
- ②所有者の同意を得た後、繰り上げ返済で一括返済してから買い替え
まずは所有者の同意が必要です。
具体的には、実印の押印された委任状や印鑑登録証明書、譲渡証明書などを用意してもらう必要があります。
しかしそれ以外の対応は、ご自身が所有者の場合と大きく変わりません。
3-3.所有者がローン借入先の場合の買い替え方法
所有者がローンの借入先となっている場合、車の買い替えは、基本的に所有権留保の解除をおこなう必要があります。
具体的な流れは、下記の通りです。
- ①繰り上げ返済で、ローン残債を清算する
- ②ローンの借入先から「完済証明書」が届く
- ③ローンの借入先に、所有権留保の解除をおこないたい旨を連絡する
- ④指定された必要書類を送付し、不備がなければ所有権留保が解除される
- ⑤「所有権留保解除承諾書(所有権解除通知書)」や「印鑑登録証明書」、「譲渡証明書」などが届く
- ⑥上記の書類と、移転登録(名義変更)に必要な書類を用意し、管轄の運輸局か運輸支局で手続きをおこなう
- ⑦車の買い替えへ
ローンを完済しても、自動的に所有権留保の解除がおこなわれるわけではないため、ご自身で所有権留保の解除と移転登録をおこなう必要があります。
ただし、下取りや買取りを依頼する店舗によっては、ローン返済をサポートするサービスが提供されていることがあります。
所有権留保の解除や移転登録など、一部を委任できることがあるため、確認してみると良いでしょう。
車のローン残債の処理方法は、下取りや買取りの金額で違いが表れる
ローン残債がある車を買い替える場合、下取りや買取りをしてもらい、その金額とローン残債を相殺することも多いでしょう。
その際、下取りや買取りの金額が、ローン残債を上回るか下回るかによって、手続きに違いが表れます。
ここでは、具体的な違いと手続き方法について見ていきます。
下取りや買取りの金額が車のローン残債を上回る場合
下取りや買取りの金額が、車のローン残債を上回る場合は、ローンを完済できます。
例えば、下取りや買取りの金額が150万円、車のローン残債が130万円だった、というような場合です。
この場合は、ローンを完済できるだけでなく、差額を次の車の購入資金に充てられます。
なお、所有者がご自身の配偶者や親族の場合、差額は所有者の口座に振り込まれるか、現金で支払われます。
下取りや買取りの金額が車のローン残債を下回る場合
下取りや買取りの金額が、車のローン残債を下回る場合、下記のように手続き方法が分かれます。
- ①差額を支払って清算する
- ②ローン残債を残したまま車を買い替える
- ③ローンの組み直しをおこなう
例えば、下取りや買取りの金額が100万円、車のローン残債が130万円という場合です。
①の場合は、30万円の差額を支払った後、車を買い替えます。
②の場合は、30万円のローン残債はそのまま月々支払い、買い替える車は必要であれば新たにローンを組む(ダブルローン)などして買い替えます。
新たにローンを組む場合は、ローン残債があるため、審査が通りづらい傾向がある点に注意が必要です。
③の場合は、30万円分の残債を次のローンに上乗せして一本化するなど、組み直しをおこないます。
②と③のケースは、ご契約中のローンの利用条件を確認のうえ進めるようにしましょう。
ローン残債がある車を買い替える際の主な必要書類
ローン残債がある車を買い替えるときの、主な必要書類は下記の通りです。
- ・自動車検査証(車検証)
- ・自賠責保険証
- ・自動車税納税証明書
- ・自動車リサイクル券
- ・実印
- ・印鑑証明書
- ・譲渡証明書
- ・車庫証明書
ただし、状況によって、必要書類に違いが表れます。
例えば、軽自動車の場合は、車庫証明書は不要で自動車税納税証明書の代わりに軽自動車税納税証明書が必要です。
また、所有者が配偶者や親族にある場合は、配偶者や親族の委任状や印鑑登録証明書、譲渡証明書も必要となります。
店舗に所有権留保の解除を依頼できる場合は、「所有権解除依頼書」や「完済証明書」などを求められることもあるでしょう。
そのため、詳しくは、ご自身が車を買い替える店舗で確認するのがおすすめです。
ローン残債がある車を買い替える際のポイント
ローン残債がある車を買い替える際には、さまざまなポイントがあります。
ここでは、主なポイントを3つ見ていきましょう。
中古車から選んで費用を抑える
ローン残債の返済などで買い替えの際の出費が気になる方は中古車から選ぶのがおすすめです。
新たにローンを組んだり、上乗せする場合、月々の負担が増えることもあるでしょう。
新車と比べて価格がお手頃な中古車であれば、月々の負担を抑えて購入できるというメリットがあります。
トヨタモビリティ神奈川では高年式車や走行距離が少ない車などを数多くご用意しています。
なるべく新車に近い状態の車が欲しいとお考えの方には、試乗車として使用されていた車やワンオーナーの中古車もおすすめです。
ワンオーナーの中古車について、より詳しく知りたい方は「ワンオーナーの中古車とは。メリットやデメリット、選ぶ際のポイントを解説」のコラムもチェックしてみてください。
買い替えに適した時期に早めに手放す
ローン残債がある場合でも、適切な時期に買い替えるのがおすすめです。
買い替えに有利な時期を狙うのが望ましく、具体的には、下記の3つを挙げることができます。
- ・モデルチェンジの前
- ・車検前
- ・総走行距離が少ないうち
お乗りの車がモデルチェンジを控えている場合、モデルチェンジ前に車を買い替えることで下取りや買取りの額が下がる影響を抑えることができます。
モデルチェンジの情報はメーカーサイトで発信されている場合もあるため、気になる場合はぜひチェックしてみてください。
また、車検を受ける前に買い替えれば、車検や法定点検の費用を節約できます。
さらに、総走行距離が少ないほど下取り額が上がる傾向があるため、総走行距離が少ないうちに手放すのもおすすめです。
車の買い替えに適した時期について、より詳しくは「車買い替えの時期はいつがベスト?節目となる年数やタイミングを解説」のコラムもチェックしてみてください。
繰り上げ返済で手数料がかかることも
繰り上げ返済を利用した際、手数料がかかることもあるため、注意が必要です。
手数料がかかるかどうかは、ローンの借入先やプラン次第です。
また、インターネット上でおこなえば手数料がかからない、窓口でおこなうと手数料がかかるなど、手続きをおこなう場所によって手数料の有無が変わることもあります。
まとめ
この記事では、車にローン残債があっても買い替えられるか、また、ケース別に買い替えの具体的な流れなどについてご紹介しました。
車は、ローン残債があっても買い替えられます。
ただし、買い替え可能な場合でも、車の所有権が誰に属しているかによって、手続き方法に違いが表れます。
そのため、まずは車の所有者が誰であるかを確かめることから始めましょう。
ローンの一括返済が必要な場合は、購入費用を抑えるために中古車を選んだり、買い替えられる時期を選んだりして、より満足できる買い替えを実現してください。
トヨタモビリティ神奈川が扱う中古車情報は、こちらからご確認頂けます。
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